「菜の花の沖」全六巻・著司馬遼太郎を読み終えて

本当に第6巻は吸い込まれるように感動し読み終えました。北前船により成功した廻船業の高田嘉兵衛(1769〜1827年)が生きた江戸幕末が生々しく描かれている。蝦夷の開拓、国後・択捉への航路開拓、千島・樺太など北方探検、捕虜としてカムチャッカに幽閉、ロシアとの交渉、領土問題、鎖国時代の幕吏と考え方など色々な観点から歴史を勉強できた。特にロシアの来航と外交交渉については異文化と人間性を際立たせた物語で面白かった。小さな争いが民族・国の間の戦争になる様相が良く描かれて分り易く、現代にも生かされていくべきと感じた。淡路島の出身で、兵庫の港で活躍していた廻船業者であったので非常に身近な思いがし、又200年前とは感じない新鮮さを感じた歴史小説でした。私にとって日本人と日本文化を今一度考えさせてくれたことに感謝したい。