「最後の将軍―徳川慶喜―」、「燃えよ剣」司馬遼太郎 著を読み終えて

NHK大河ドラマ篤姫」を見ていて、徳川家慶、家定、家茂、慶喜が登場したので、少し興味も湧き、一挙に読んだが本当に分り難い、背景と人物であった。司馬さん自身があとがきで書いているが、政治家を小説の主人公にして成功した例はシュテファン・ツヴァイクの「ジョセフ・フーシェ」のほか、わずかの例しかないとのこと。わずか2年半の15代将軍であり、大変革の時点でもあり、政治的事象が複雑すぎて人物がはっきりしない。その後、江戸―水戸―静岡―東京と移り住み、静かに過ごし77歳(大正2年)で亡くなっているが、30才前後の時の自らの気持ち、考えを後日、誰にも伝えていないとの事。小説ではなく、歴史としてもう一度、史実として詳しく知りたいと感じた。
燃えよ剣」は百姓の子、土方歳三の剣のみに生きた壮絶な生涯を描いている。新撰組副長として京都で活躍した日々から、鳥羽伏見の戦いで破れ、朝敵となって江戸に逃げ、その後、会津若松、函館五稜郭へと最後まで血で染め、戦い続け、戦死している。
新撰組は節義のみに生きるべきである。敵を打ち破るそれだけが唯一の目的であり、和泉守兼定の大刀が敵を破るという思想だけである。乱世に生き、乱世に死ぬ、これこそが男の本懐ではないか」との思いで、300年間眠っていた武士(剣の達人)が数年間活躍し散っていく。刀から銃に変わる一瞬、壮絶な戦いに生きた人たちを描いている。
明治維新を動かした、一つの原動力を感じる。特に若者の多くの命が犠牲に成っているが、外国の変革時に比べれば、犠牲は非常に小さいと思われる。やはり、この小説に美しさ、ロマンを感じた。